名前 :福島愛子
居住地:West LA
経歴:
静岡県浜松市出身。日本で大学卒業後にアメリカボストンにあるバークリー音楽大学に留学しジャズと映画音楽の作曲科で学ぶ。卒業後ロサンゼルスでTV音楽の作曲家の元でFellowshipについたのをきっかけにロサンゼルスに移住し映像音楽に関わる仕事を始め、現在に至る。
南カリフォルニア暦:13年
お子さんの年齢と性別:3歳(女の子)
Q:出産はどこでされましたか?(アメリカ/日本?)どのように?(自然分娩/無痛分娩/帝王切開?)何か出産時の面白いエピソードがあれば教えて下さい。
出産はサンタモニカのSaint. John’sで、自然分娩でしました。出来るだけ自然にしたかったので妊娠初期は助産婦さんのところに検診に行き、その後私のバースプランをすべて受け入れてくれたドクターの元で出産しました。陣痛が始まって病院に入ってからDoulaをお願いしていた方がずっと付きっきりでお世話をしてくれたので看護婦さんたちはほとんど部屋にいませんでした。ドクターが若くてとても気さくな人で、“僕のところに来ている妊婦さんの子供は必ず僕が取り上げます!”と言ってくれるような人だったのでその方に出会えて幸せだったと思います。陣痛が始まって電話をしたら、“病院に電話して僕の友達が今から行くからちゃんと準備しておいてと言っておくよ”と言ってくれたのが印象に残っています。出産の時も常にポジティブで、ジョークを交えながら私と主人、周りの看護婦さん達と和気あいあいで娘を取り上げてくれました。
Q:出産後何が一番変わりましたか?
1番の違いは毎日“夢のように幸せだなあ”“夢のように可愛いなあ”という気持ちが何度も湧いてくることです。妊娠初期に友達が”恋愛とか比べ物にならないくらいときめくよ!”と言っていましたが、全くその通り!もちろん毎日チャレンジはありますが、それよりもとにかく胸がジーンとくるような幸せ感があります。(たぶんどの親御さんもそう感じていると思いますが。)特に最近は一緒に会話が出来るのでもっと面白いです。“ママ大好きよ”と言われると涙が出そうになります。子供の存在を利用してはいけないのですが、娘が誇れるような人間でいたいと思うようになり、今まではいい加減にやっていたことを丁寧にこなす努力をするようになりました。あとは、今まで母が自分にしてくれた事に理解と感謝の心が生まれた事です。よく妊娠する前や妊娠中に“子供が生まれると自分の人生が全く変わる!”とネガティブな意味で“警告”してくる人がいましたが、私にとってその変化は100%ポジティブで、とにかく可愛くて胸がトキメク存在であるので、子供を作るか迷っている友達に相談された時には100%おススメしています。
Q:育児ポリシーは何ですか?
子供の目線に立って物事を一緒に見る努力をすること、出来るだけ楽しい思い出を一緒に作ること、愛情を与えながら一人立ちが出来る一人の人間を作っていくサポートをすることです。あとこれはポリシーというかわかりませんが、私も主人も娘を抱きしめたり、キスしたり、“ベタベタする”のが大好きなので、常にそれをする時間をとることです。その時に”大好きだよ””あなたが一番大事よ”と娘が言葉を話せないときからずっと言い続けています。最近主人が見た記事によると、デンマークの子供達は世界で一番”幸せ度”が高いそうです。その理由は子供の頃からSelf-confidence よりもSelf-esteemを子供に常に教えながら育てるからだそうで、それを教えるひとつの方法としてスキンシップをする時間を特別な時間として生活の中に取り入れているということです。 http://www.mothermag.com/danish-parenting/
その記事を読んでからベタベタして大丈夫なんだ~とさらに積極的にしています(笑)今考えてみると自分の父親もあの時代のお父さんには珍しく、いつも私と妹に嫌がられながらもスキンシップを心がけてくれて、どんなに仕事が忙しくても私達と過ごす時間を大事にしてくれていろいろな場所に連れて行ってくれたり、学校の行事には必ず来てくれたのを思い出します。あと気をつけている事は、コンピューターやテレビに子守りをさせないことです!
Q:お子さん達はデイケア/プリスクールに通われていますか?
2歳から日系の保育園に通っています。
Q:仕事と育児のバランスについて。仕事をしていて良かったというエピソードは?逆に、仕事をしていて大変だったというエピソードは?
幸いにも私は家で仕事をしているので、産後3ヶ月からベビーシッターさんに家に来てもらって仕事をし始め、授乳の時は子供と一緒に時間を過ごすことが出来ました。作曲をしているとなかなかいいアイデアが出て来なくてつらい時もあるのですが、何かきっかけがつかめてから一気に書き上げて行く時にかなり気分が上がってよく”こんなに楽しい仕事はない!”と思います。仕事をしている時の自分時間と子供と過ごしている時間が分けられるので気分転換になって、わりと育児にゆったり対応出来ている(たまにキーッとなりますが)気がします。大変な面は、今までと違って”明日までにお願いします”というような急に入ってくるお仕事に対応することが難しくなったことです。
Q:時間管理は大きなテーマかと思いますが、何か実践されていることはありますか?
まだ時間管理がきちんと出来ていないので、エラそうなことは言えませんが、最近実践しているのは、一つ一つの事を丁寧にこなす努力をすることで、今までのようにやらなければならない事が大きな雲のように自分にのしかかっている感を無くし、一つが終わったら“リセット”することです。その時に意識的に気持ちもリセットするようにしています。
Q:旦那さんとの子育て分担はどのようにされていますか?
旦那さんと分担してやっています!と本当なら言いたいところですが、主人もフリーランスの映像音楽の作曲家で、特にテレビや映画の仕事で締め切りが近くなるとずっとつめて仕事をしなければならないことが多いので、私がほとんど子育てをやることになります。時間が許される時には手伝ってくれますが、自分のやり方と違う事に以前はハラハラした事もあります。今は彼のやり方があるし、彼の子供でもあるんだ!と割り切って完全にお任せしています。時々私よりもやり方が丁寧でびっくりさせられることもあります。
Q:アメリカでの育児で大変だったエピソードは?その困難をどのように乗り越えましたか?
一番は助けを求められる家族がすぐ近くにいないということでしょうか?それを自分だけでやろう、やらなければならない、と思わないで友達やシッターさんという数々の人たちに助けられて育ててもいいんだ、と割り切って、信頼出来る人たちと一緒に娘を今まで育てて来ました。ヒラリークリントンの本にもありますが、まさに"It takes a village to raise a child"です。 幸いにも私の家族には15年近く友達であるロサンゼルスの家族のような親友が何人かいるのでその家族たちが心の支えになっています。それから保育園に通うようになって特に、先生たちと他の子供たちのお母さんお父さんに育児全般から同じ外国に暮らす日本人として出て来る疑問や悩みを相談出来ることがとても心の支えになっていることを感じます。娘の通っている保育園は国際結婚をしているご夫婦が多いので、いろいろな意味でわかりあえる友達が増えたので本当にありがたく思います。たまにママ達と集まって飲み会をしてみんなで大笑いしながらいろんなことを話すのも楽しみのひとつになりました!
北米との文化の違いを感じることもよくあります。例えば添い寝しないことや、こちらではCry Out メソッドを実行していた友達が多かったけれども私はやりなくなかった事などです。幸い主人は日本の子育ての仕方にオープンな人だったので添い寝もはじめは疑問に感じでいたようですが、今では”living doll”と寝てるみたい!と喜んでしています。
Q:バイリンガル/トライリンガルになるように特別にしていることはありますか?
0歳の時から日本人のシッターさんに見てもらっていることと、私とは100%日本語で話すこと、旦那さんとは100%英語で話すことでしょうか。旦那さんと3人の会話の時も私は日本語で娘に受け答えしています。あとは私の母が日本語の本が毎月送られてくるブッククラブをプレゼントしてくれているので毎晩寝る前に日本語の本を読んでいます。
Q:お子さんと一緒に行くオススメ地元スポットを教えて下さい。
Will Rogers State Park です。芝生が広がっている広場なので子供を野放しにしても見失うことがありません。ポロを観戦することが出来たり、馬を間近で見ることも出来ます。
Q:好きな子供ブランドはどこですか?
今までたぶんCarters に一番お世話になっています。特に乳幼児の時は値段もお手頃でデザインも可愛く、品質もいいので一番お薦めです。あとHanna Anderson, カナダのブランド Hatleyもお薦めです。
Q:趣味は何ですか?
好きな音楽を聴いてその中に入り込むことです。これは趣味って言えないかも? ヨガを出産する前まで10年以上続けていました。出産してからあまり行っていないので今実行しているとは言えませんが、そろそろやり始めなければ!と最近特に思います。
Q:今後の夢は何ですか?
夢というか、目標はこれからもっと自分が尊敬するクリエイティブな人たちに出会って一緒に人の心を動かす作品を作ることです。それと、以前は日本から外に出たいと思う気持ちの方が強かったのですが、最近は自分の国である日本の人たちに何かの形で恩返し出来るようになりたいと思うようになりました。まだ具体的な方法は見つかっていないのですが、いつか必ず形にしたいことのひとつです。音楽で出来ればさらに最高です!
【インタビューを終えて】
美しい音楽を作り出す愛子さんは、細やかなところに気が利いて、丁寧に子育てをしておられるママ。一つ一つの事を丁寧にこなす努力をして一つが終わったら、気持ちを<リセットする>という時間管理のコツは、是非活用していきたい事の一つ。自分たちだけで子育てするのではなく、まさに子育ては”It takes a village to raise a child"。みんなの助けをかりて娘を育てきましたという言葉を聞いて、海外子育てでは特にこういうマインドセットが必要なのではと思いました。これからも益々人の心を動かす作品を作り続けていきたいという、愛子さんの活動をこれからも応援しています!サイトから彼女の音楽が聞けますので、是非聞いてみて下さい。インタビューご協力本当に有り難うございました!