【小さなヒント009】子どもってすごい!

今回は「子どもの力を感じた場面」について。「子どもってすごい!」と思わされることが保育園ではたくさんあるので、ここで少しずつ紹介させてもらいます。

私たちの保育園には「なかよしテーブル」というものがあります。と言っても特別なものではなく、テーブルと椅子が置いてあるだけの場所です。保育園では子ども同士の関わりがたくさん生まれるので、当然トラブルも起こります。同じおもちゃを使いたいという互いの主張がぶつかったり、一緒に遊びたいけど互いにやりたいことが違っていたり。そんなことからケンカにつながることはよくあります。ケンカが起きたとき、以前は保育者が間に入って白黒はっきりつけて解決させていたんですが、子どもたちに任せてみようと考え「なかよしテーブル」を設置することにしました。

ケンカが起きた直後は子どもたちも興奮しているのでそれを静めてあげること、そして相手にケガをさせてしまうことがないよう配慮してあげることは保育者の役割です。子どもたちに任せるのはその後のこと。子どもたちだけでお互いにどんな思いを持っていたのかを話し合ってもらいます。なかよしテーブルを設置したときは、正直なところ「果たしてこれで上手く話し合いをしてくれるんだろうか」と心配していましたが、子どもたちは実に素晴らしい姿を見せてくれました。

例えば大人であれば、どちらに非があるのかをはっきりとさせたくなったりしますが、子どもたちはちょっと違っています。僕は○○が使いたかったんだ、私も○○を使いたかったと思いを伝え合うんですが、その後どちらが良くてどちらが悪いといった白黒をはっきりさせるのではなく、「えっ、それでいいの?」と思ってしまうような、どちらかと言うとグレーな状態でお互いに納得し、ニコニコ笑いながら仲良く遊び始めたりします。解決の方法として、このグレーな状態をどう捉えるかは難しいところですが、曖昧と解釈するのではなく適度で程よい着地点を自然と見つけていると捉えたいです。

相手の思いは間違っていると考えて対立するのではなく、両方の言い分があって当然だよねと互いの思いを認め合うことって、実は私たち大人にとっても大事な考え方だと思います。たとえ相手の主張が認められない場合でも、「ケンカをしていてもしょうがない」と切り替えて次に進まなければいけないときはあります。子どもたちのケンカのおさめ方を見ていて、自分自身のふるまいを反省させられることは多いです。自分たちでトラブルを解決するだけでなく、その解決方法も非常に柔軟である子どもたちに、いつも驚かされています。