名前:河瀬さやか
居住地:Los Angeles
経歴:
島根県隠岐の島の出身です。15歳まで日本海に浮かぶ離島で育ちました。埼玉大学教育学部に入学したのですが、ある出来事をきっかけに心理学に魅かれて翌年にアメリカに渡ります。心理カウンセラーになりたくてCSU Long Beachで学士と修士号をとりました。米系メンタルクリニックで5年間勤めた後に独立し、長年の夢だった開業をLA市内でスタートしました。2011年、東日本大震災の様子をテレビの画像で目の当たりにしたことで、私の中で大きく何かが変わります。とにかく何かしなくてはと思い、NPO団体Kokoro Wellness NetworkをLAで立ち上げました。2011年5月に上の娘を連れて(当時1.5歳)日本に移住し、同年12月まで宮城県石巻市で被災地支援に携わりました。全米から18名の日本語の話せる心理カウンセラーを石巻に派遣し、約1800名の被災者の方々のお話を聞きました。その後2013年まで、国立精神・神経医療研究センターと東京女子医大に所属しトラウマ治療の研究と臨床に携わり、トラウマとその効果的な治療のあり方についてとことん考えるチャンスをいただきました。2013年5月にLAに戻り、現在はKaiser Permanenteの精神科での勤務と、自身のクリニックの開業も再開しました。専門はトラウマとカップルセラピーです。
南カリフォルニア暦:24年
お子さんの年齢と性別:6歳(女の子)、18ヶ月(女の子)
Q:出産はどこでされましたか?何か出産時の面白いエピソードがあれば教えて下さい。
2人ともアメリカで出産しました。自然&無痛分娩です。1人目のお産は本当にEasyで、汗も涙も叫び声もないシーンとした中での出産。物足りないぐらいでした。2人目のお産はうって変わって無痛のはずなのにとっても痛かったのですが、破水するまで当時はまっていた“Breaking Bad” をiPadで見ていた流れから、出産の様子をSkypeで日本の両親にLive中継しました(もちろん映せるところのみですが)。ドクターやナースも皆さんSkype越しに「Hello, Mom and Dad!」って感じでなんだかほんわかしてました。
Q:出産後何が一番変わりましたか?
自分の体は一つしかなくて1日は24時間しかないという当たり前のことがすっごく現実になりました。時間の使い方やプライオリティの立て方が以前よりずっとテキパキになっちゃったと思います。サバイバルモードというか。それはちょっと寂しいことかもしれません。それから、自分の靴よりも子どもの靴を買う回数が増えました(これは私的には大きい変化です!)。
Q:育児ポリシーは何ですか?
完璧を求めないこと。これはついついそういう思考に誘惑されそうになるので、マントラとして唱えています。フェアであること。例えば自分に非があれば(つい怒っちゃったとか)子どもにすぐに謝るようにするとか、アクシデントで起こってしまったこと(ものを壊しちゃったとか)は叱らないとかです。子どもに言っていることは大人もきちんと守るっていうのもあるかな。いろんな状況においてものさし的な判断基準として使ってます。
Q:お子さん達はデイケア/プリスクールに通われていますか?(何歳からですか?日系ですか?現地校ですか?)
上の娘は、生まれて4ヶ月目ぐらいからシッターさんにお手伝いしてもらっていました。2011年から2013年までは私の仕事で日本に住んでいたので、上の娘は日本で保育ママを1年と保育園に1年通いました。LAに戻ってきてからは、現地校のPreschoolで、今は現地校のKinderです。下の娘は現地校のDaycareに通っています。日系のところを考えていたのですが、残念ながらこれ!というところにめぐり合えませんでした。週2回はシッターさんに早めにお迎えに行ってもらって2人ともみてもらっています。
Q:仕事と育児のバランスについて。仕事をしていて良かったというエピソードは?逆に、仕事をしていて大変だったというエピソードは?
私はママになる前に仕事をしていた時期が長かったので、キャリアは私のIdentityの大きな部分を占めていると思います。そんな理由から、仕事をすることで安定した自分でいることができると感じています。子どもと過ごす時間が短くなるという大きなディスアドバンテージがありますが、その分子どもと一緒にいれる時間を心から感謝して楽しんでいる自分がいます。仕事をしていて大変なのは、どちらかというと子どものほうではないでしょうか。子どもの気持ちからすると、ずっと一緒にいてくれるママがベストだと思います。そういう意味では、ごめんねって気持ちがいつもあります。
Q:時間管理は大きなテーマかと思いますが、何か実践されていることはありますか?
朝早起きになりました!どうしてもやらなきゃいけないことがある時は、4時起きもありです(普段5時半なので)。それから、メリハリをつけるのがうまくなりました。スイッチ入れたらとことん集中して、終わったらあまり振り返らずに次のことの進みます。コストパフォーマンス、多分上がってます。子どもと一緒にいる時間はメールのチェックはしても、返事を書かないようにしています。というわけで、筆不精になりました。電話に出るのも控えるようにしているので、ご迷惑をおかけしている人がたくさんいると思います。すみません。
Q:旦那さんとの子育て分担はどのようにされていますか?
朝と夕方のお迎えは50・50。二人が補えないところをシッターさんにお願いしています。私が土曜日一日仕事なので、主人が子ども2人を面倒みています。娘たちもこのパターンが当たり前になっていて、パパとの土曜日をエンジョイしている感じです。家事は、トイレとお風呂のお掃除は主人の担当で、毎週末せっせとやってくれています。最近はバスルームお掃除の洗剤と道具も自分で買ってくるところまで成長しました。パパもこなせばこなすほど子どもの面倒も家事も確実に上手になるので、たくさんのありがとうとほめ言葉を忘れずに、どんどんやってもらうのが秘訣だと思います。
Q:アメリカでの育児で大変だったエピソードは?その困難をどのように乗り越えましたか?
日本での2年間の生活が精神的に大変だったので、アメリカでは気楽にやっている感じです。個人的にはアメリカの方が子どもにやさしい社会のような気がします。子どもって泣くし、大変なときもあるよねって見守ってくれてる感があります。その差がママに与える影響ってとても大きいと思います。家族や姉妹、親戚がいないのはちょっと寂しいですが、子どものケアに携わってくださるいろいろな人たちに助けられているのを実感していて、それが大きな支えになっています。シッターさんやDaycareの先生方が血のつながっていない親戚って感じです。
Q:バイリンガル/トライリンガルになるように特別にしていることはありますか?
家では英語禁止令がでています。あとは、かるたとしりとりで遊ぶようにしていますが、どこまで続くのでしょう。。
Q:お子さんと一緒に行くオススメ地元スポットを二つ教えて下さい。
Lemonadeはよく行きます。上の娘があそこのMac & CheeseとRed Velvet Cupcakeが大好きなので。最近、ファンドレージングやチャリティ等の5Kのマラソン参加にはまっていて、今度はSedonaマラソン(これはチャリティじゃないのですが)に家族で参加します。とはいえ、ストローラー押して歩くだけなので、マラソンとは程遠いお話です。
Q:好きな子供ブランドはどこですか?
無印が好きです。コットンのクオリティが良くて型ずれしにくいのがいいです。ボーダーとチェニック調の洋服が増えちゃいますが、ぜひお試しを。こちらでよく使うのはZaraです。お値段もお手ごろだし、デザインがかわいいと思います。ネットの方が商品が多いのでお勧めです。
Q:趣味は何ですか?
ゴルフとワインです。ゴルフは簡単に行けなくなってしまったので、娘にもゴルフレッスンをとらせて一緒にまわれたら楽しいだろうなぁ。
Q:今後の夢は何ですか?
家族でいろんなところに旅行したいです。今行きたいのはキューバとギリシャ。それから娘たちと一緒にワインが飲める日が来ることかな。みんなでワインティスティングの旅行ができたら楽しいかも。
【インタビューを終えて】
東日本大震災の後には、何かしないと!と即NPO団体を立ち上げて2年間生活の場を日本に移し、被災者のトラウマ治療の研究と臨床をされたというさやかさん。その行動力と使命感の強さが素晴らしいなとお話を聞かせて頂きながらしみじみと思いました。そして彼女は私と同郷という事もあって、ロサンゼルスで活躍するプロフェッショナルとして、一人の母として、彼女の生き方を尊敬し、とても勇気づけられました。今回はインタビューのご協力、本当に有り難うございました!