【小さなヒント012】子どもに片づけを進んでさせるための3つのポイント

今回の質問は「遊んだ後など、片付けを進んでさせるにはどうしたらいいか?」です。
片付けの悩みはどの保育園でも課題となっていて、保育士の勉強会等で保育の悩みを話し合うと必ずといっていいほど出てきます。片付けの時間になっても片付けない子がいる、片付けの途中で違う遊びが始まってしまう、どんな声かけをすればいいのかわからないなど、おそらく家庭でも同じように悩んでいることなんだろうといつも思っています。

片付けのことを考えるポイントは3つあります。

①その遊びを十分に楽しめるようにすることです。

子どもはいつまでも遊んでいたいものです。遊びは楽しいし、遊ぶことで成長し、できることが増えていくので、これは当然のことかもしれません。その遊びをお終いにして片付けなければいけないのは、子どもにとって辛いこと(辛いという表現は少し違うかもしれませんが)であるはずです。だからこそ遊びを十分にやりきった、十分に楽しんだと感じることが、次の片付けへスムーズに移っていくポイントだと考えています。そのためには十分に遊べる時間を設けるとか、遊びに夢中になれるよう内容を充実させることが大切です。そうすることでまた次も同じように遊びたい、だからおもちゃを大事にするために片付けをしようという気持ちも生まれてきます。遊びが不完全燃焼だったのに片付けだけはしっかりと、というのは大人でも辛いことですよね。

②何をどこまで片付ければいいのかがはっきりしていることです。

例えば片付ける場所が明確になっていることも大事です。私の保育園ではどこに何を片付けるのかを、写真や絵を貼って分かりやすく示しています。そして片付ける物の量も大事です。例えば散らかりすぎた部屋を片付けるとき、どこから手をつけていいか分からず途方にくれてしまうことは大人でもあると思います。同じように、子どもにとっても片付ける物があまりにも多いと、どうしたらいいのか分からなくなってしまいます。そうならないように、例えばあと少しというところまでは大人が片付けてあげ、最後だけを子どもに片付けてもらってもいいでしょう。そのときに「片付けてきれいになったね」「片付けると気持ちがいいね」と声をかけてあげると、片付けることで不快な状態を脱することができると学んでいくことになります。

③大人が片付ける姿を見せてあげたり、一緒に片付けたりすることです。

他者を助けようとすることは人間の大きな特徴です。これは子どもも同じで、例えば大人が一生懸命片付けをしているときに「ちょっと手伝って」とお願いすると、喜んで手伝ってくれたりします。子どもと話をしながら一緒に片付けるのもいいと思います。子どものうちは片付けることを少しずつ学んでいる段階なんだと考えて向き合うくらいの方が、子どもにとっても大人にとってもいいんじゃないかと思っています。

子どもが大人と同じように片付けの必要性を感じることは難しいです。早くから片付けができるようになることを求めすぎなくていいと思います。まずは満足のいくまで遊ぶことから始め、片付けはできる部分を任せたり手伝ってもらったりして、「片付けてその場がスッキリすることは気持ちいい!」と少しずつ感じられるようにすることを目指してみてはどうでしょうか。