今回の質問は「思いやりを教えるために、毎日親ができることは何か?」です。
この質問に対する直接の答えにはならないかもしれませんが、他者の気持ちを考えること・感じること、つまり共感については非常に関心を持っています。他人 と関わる上で欠かすことのできない共感ですが、この力を子どもたちはいつ頃獲得するんだろうか?かなり小さい頃から?もしかすると生まれつき持っている? など、疑問を持って子どもたちを見ています。そこである実験を教わったので試してみることにしました。
ある実験とは「大人がケガをしている手でタッチを求めたら、子どもはどんな反応を示すのか?」というものです。この実験には手順があって、まず片方の手をケガをする演技から始め、応急処置(絆創膏を貼る)ところまでの演技も見せます。その後、「子どもたちに両手でタッチを求めるとどのような反応を示すか」を調べます。絆創膏を貼っているのはケガをしたからだということをイメージできるようにすることがポイントです。さて子どもたちの前に両手を差し出したとき、ケガをした手に対してどのような反応を示したと思いますか?
この時は急に思い立って実験を行ったため子どもが揃っておらず、今回の結果は参考にならないかもしれませんが、
「優しくタッチしてくれた」 7人(1歳児5人、2歳児2人)
「ケガをしていない手のみにタッチ」 1人(0歳児)
「じっと手を見てタッチしなかった」 1人(0歳児)
という結果でした。
優しくタッチしてくれた子は、手を見て痛そうな表情をしてタッチしかけた手を一度止め、その後優しくタッチというのがほとんどでした。実験をした子は少ないですが、おそらく全園児に実験しても同じような反応を示すがほとんどだろうと想像しています。このようなケガをした人を気遣う姿は、例えば痛そうにしていると同じように痛そうにしたり、優しくさすってくれたりといった姿を家庭でも見ることはあるんじゃないでしょうか。こうした姿は明らかに他人の気持ちを理解するところから来るもので、まさに共感の力です。0歳児もこのような姿を見せるということは、共感する力はかなり小さい頃から、もしかすると生まれたときから持っているのかもしれません。
だとすると保育者はこの共感する力をさらに育んでいくためには何をすればいいか。私はとにかく多様な他者と関わる場を設けてあげることだと考えています。いろんな相手のいろんな感情と向き合うことで、様々な感情に共感する力を育んでいくはずです。共感すること、他者の気持ちを考えること、他者を思いやることを、様々な関わりの中でたくさん経験させてあげたいですね。